『ONOMIMONO』 パスピエ

パスピエの楽曲たちの雑感を消化したい。

ということで、二枚目のミニアルバム、『ONOMIMONO』のレビューです。

 

このアルバムは、2012年にリリースされたものです。

1stの約半年くらい後ですかね。

初のメジャーレーベルからのアルバムとなります。

 

1.トロイメライ

 逼迫感の感じられるようなシンセのメロディから始まるイントロ。パスピエは、アルバムの1曲目にこういった鬼キャッチ―なイントロの曲をぶちこんでくることが多いかなと感じます。

 トロイメライとは、シューマンの作曲した『子供の情景』という組曲の中の一曲だそうな。意味は、夢とか夢想。

 大胡田なつき(vo.)さんはこれを意識した作詞を行ったそうです。子どもから大人になっていくそんな複雑な感情を表した切ない歌詞だと思います。私は結構好きです。

 バックでずっと鳴っている甲高いシンセがすごく印象的で、大人になっていく、自分が変わっていくことに焦りを感じている、そんなイメージが湧くようなサウンドかなと思います。

 

2.デモクラシークレット

 歪んだ野太いベースがこれまでのパスピエと少し違ったイメージを抱かせます。このアルバムでは、1stと違って、シンセ以外の楽器の聞こえがよくなっています。それがわかりやいのがこの曲ですかね。少しニューウェーブよりもロック寄りな感じのサウンドになっています。

 大胡田さんのかっこいい声、キュートな声、セクシーな声など色々な表情が楽しめるのも面白いです。

 

3.プラスティックガール

 切ないギターのリフが世界観を作っているかなと感じます。大胡田さんの詞世界が120%表現できている気がしますね。前作ではあまり考えられなかったことかなと個人的には思いますね。サビ終わりぐらいの「聞かせて」がすごくいいです。

 

4.脳内戦争

 とりあえず、語感のいい言葉を詰め込みましたみたいな歌詞。特に四字熟語。こういうの嫌いじゃない、というかとても好きです。独特の詞のセンスは相対性理論の初期にも似てるかなと思う。Bメロのぐちゃぐちゃ感(?)好きです。

 

5.気象予報士の憂鬱

 面白い構成の曲です。ピアノの伴奏と雰囲気のあるギターから始まって、スローテンポな曲と思いきや、Bメロで一気に曲調が変わり、マーチのような明るい曲に変わります。これは成田ハネダ氏のクラシック知識が活かされた面白い曲かなと感じますね。ただ、曲自体も短く、試験的な感じも否めません。ま、すごくかわいげで雰囲気があって好きです。最初の曲調の感じでそのまま行ってたらどうなってたのかも気になりますね。イントロらへんのギターのリバーブが好きなので。

 

6.トリップ

 このアルバムの中でも二番目くらいに好き。ギターがいいですね。この曲もテンポが途中でがらっと変わります。こういう雰囲気というか世界観がすげえ作り出せるようになったと感じるのがこのアルバムの特徴ですね。個々の楽器隊がはっきり聞こえるからでしょうか。トリップてのは何を意味してるんでしょうね。あまりトリップ感は感じないですが。

 

7.最終電車

 このアルバムで断トツで好きです。電子オルガンっぽい音が電車のプラットフォームあるいは一昔前の着メロを想起させますね。切ないけど明るくてノリのいい。そんな感じです。大胡田氏の歌声も情緒的で等身大の女性としてうまく感情を伝えているような印象を受けます。ただ、主観的な感情を述べる詞がちょっと陳腐かなという気もしなくもないですね。大胡田氏の実体験を少しもとにしているそうですが、良いムードのある曲なので、情景描写をうまく駆使したらもっとよかったのかなとも思います。が、好きです。

 

8.ただいま

 ラストナンバー。頭にドキャッチ―な曲、最後にゆっくりなテンポの曲を持ってくるアルバムの構成は前作と同じですね。ライブのアンコール後のしめとかで聞きたいかなーっていう感じの曲っていう気がします。最後のバックコーラスで壮大なフィナーレを頭に浮かべますが、曲としては前作のラストの『夕焼けは命の海』の方が個人的に好きです。

 

1stか約8か月という短い期間でありながら、着実な成長を感じさせる1枚だと感じます。ただ、前作よりも所々尖った部分が抜けているような印象も受けます。私としては。まあ、雰囲気の作り方などが前作よりも好きですし、大胡田氏の詞世界もより本人の意志というかエモーションみたいなのを詞に投影している気がして好きな1枚です。

 

パスピエ「ONOMIMONO」インタビュー (1/4) - 音楽ナタリー Power Push

パスピエ 『ONOMIMONO』 - TOWER RECORDS ONLINE

 

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